人口減少下の保育所経営課題

●人口減と保育所利用者

18歳人口

1990年には18歳人口200万人、大学500校。2012年には18歳人口120万人、大学780校。すべての大学はなんと40%の定員割れ。

児童数

幼稚園は160万人が通い、13,000施設。保育所は225万人、23,500施設。認定こども園15万人、900施設。認可外保育所20万人、8,000施設。施設利用をしている児童の総数は約400万人。児童施設数は45千施設。コンビニの店舗と同等数です。

 

2012年の出産数は約100万人。今後6年間の潜在的な保育、幼稚園ニーズの総数は100万人×0歳から5歳=600万人。

 

400万人÷600万人=67%。総児童数のうち、約67%が施設を利用していると考えられます。

 

しかしながら、出生率は下がる一方で、出産数は毎年100万人を確保できるかどうか、現在の日本の状況では下がる一方と考えられます。

 

長期的にみると、児童数は減っているということは明白であり、保育ニーズは長期的に減少していくとは確実です。

 

●人口減と就労者の確保

人口減の直接の影響を受けるのは、児童減少という直接的な影響のほかに、職員確保という問題が生じます。保育士の確保という問題です。

 

他の業界を見ても同じことが起きています。

看護師が少ないため、海外から看護師をという議論がありました。

また、現在、建築現場には職人が不足していて、現場が思うように進みません。建築現場をみるとおわかりのように20代の職人を見かけることは極めて少ないのです。

例外に漏れず、私たち税理士事務所業界も同様の現象が生じています。

私たちが担当している企業の皆様方も、人材確保が経営の大きな課題になっているのです。

企業に限らず、地域のスポーツにおいても同じことが起きています。サッカースクール、水泳教室、少年団ソフトボールなど様々な場面でアシスタントコーチなど不足していっているのです。

 

働く人がいないという現象は、経営に大きなダメージを与えてしまいます。

特に保育所は児童に対する職員位置の最低基準が定められているため、少ない人数で工夫して児童の指導をするということができません。保育士不足は、児童の入所を断らなければならないということが、現実に起きています。

保育士を確保するには、従来型の採用形態から新たな採用方法へ変わらなければ保育士の人材確保は困難になることでしょう。

児童の確保、保育士の確保は、保育所運営の最優先課題といえます。

 

●保育士増員の政府施策

平成25年度から児童処遇改善費が保育士に支払われるようになりました、保育士の処遇を改善するための紐付き補助金という性格のものです。「保育士等処遇改善臨時特例事業」です。

 

さらに、政府は保育士資格を取得するために、在学中に160万円を政府が個人へ貸し付け、5年以上、保育所に勤務すれば160万円を免除する制度を平成25年度から始めました。

「保育士修学資金の貸付」といわれる制度で、厚生労働省発雇児 0226 第 4 号 平成 25 年 2 月 26 日」の通知に詳しく記載されています。

保育士の現状は学校卒業後、約8割が平均2.8年で退職するといわれています。

人材流出を防ぐために政府は個人への貸し付け、免除制度を開始したのです。

結婚したらやめるという悪しき風習を、結婚しても長く勤めることができる職場へと変えなければならないでしょう。

政府が保育士育成にここまで考えている理由は、少子高齢化により、就労者数が減少していっています。唯一残っている就労者は女性なのです。女性の社会進出を促し、就労者数を確保することが狙いなのです。2020年までに女性就業率を73%にするという目標を掲げています。

女性が社会に出るためには、どうしても児童を預かる施設が必要になるのです。その施設が不足している現状を政府は解消する予定なのです。その数97万人の児童数といわれています。

施設数を増やしても、実は保育士が不足するという状況が厚生労働省調査でわかっているのです。

そこで、施設はあっても保育士がいないという状況に陥ってはいけないため、保育士増員計画を政府施策に盛り込んだのです。

 

政府が重要な位置づけとしている待機児童問題は、女性の社会進出による就労者数を確保ということが背景にあるのです。

だから、待機児童対策には政府の予算が配分され、保育所関連事業は、国内の数少ない成長産業となっているのです。児童数は減りながらという課題を伴いながら。

 

 

●競合状況

女性の社会進出を促し、保育施設を増加させ、保育士数を増やす、まさに保育業界は有力な成長産業なのです。しかし、人口減で必ず、成長は終わります。各自治体の出生数=施設受け入れ可能児童数によって成長の終焉を迎えます。

終焉を迎えるのは平成29年頃だろうと考えられています。その間、保育所は成長産業であるため社会福祉法人に限らず、様々な法人が参入してくるとは必至です。

最大の保育所経営はJPホールディングスです。企業保育所どころか上場企業です。ほかにも多数の保育所を経営している法人は企業ばかりです。

大企業だから、我が地域は関係ないと考えていると大変なことになります。

認定こども園制度が始まると、幼稚園は0歳から2歳までを受け入れ開始するようになります。あっという間に保育所が複数できるのです。毎年2歳児から20名の定員を受け入れて、数年経過すると20名×6=120名定員の保育所ができあがるのです。

また、介護施設など地元の建設会社の方が運営しているケースが増えてきました。まったくに異業種です。しかし、介護施設は建設を伴い、建設で得意なのは建設会社です。そのまま運営方法を学んで、介護施設を運営しているのです。

建設会社が、介護施設と同様に、認定こども園を運営する可能性は高いのです。

保育所かみると現在の認定こども園で、地方裁量型は、あまりメリットはないように感じられます。しかし、企業からみると、縮小する建設業界より、安定した収益が望める認定こども園は、次の介護施設として有望な業界として判断する可能性があります。

このように、競合状況は既存の保育所ばかりでなく、様々な法人が潜在的な競合相手となっているのです。

競合状況というのは、児童の確保と保育士の確保という両面においてです。

 

 

●20年後

まさに保育業界はバブルがごとく、施設整備、保育士の採用が行われます。しかし、その資金原資を15年から20年の借入金に依存していてはとても経営リスクを回避できません。

平成29年度には需給関係はバランスすると、今度は既存園による熾烈な競合が始まります。ただ集めて、保育してという特徴がなければ、その保育所は選ばれなくなってしまいます。

特徴を出すために、認定こども園になることは重要な決断でしょう。認定こども園に特徴があるという訳ではなく、認定こども園には教育があるという理由で、選択されやすくなる可能性があるのです。保育所勉強させないが、同じ0歳から預かる施設で、認定こども園は教育があるというのは、保護者にとって重要な施設選択基準になることでしょう。

だからといって、英語教育をした方がいいとは私は個人的には思っていませんが、英語教育ニーズが一番あると思います。

また、認定こども園は「保育が必要」な子に対して受け入れ可能になりますが、保育所は「保育に欠ける」子が対象です。保育に欠ける子は家庭での保育ができない共働き家庭の支援です。一方保育が必要な家庭は共働き家庭ではなく、誰でも受け入れ可能になるということが考えられます。

そうなると、仕事を見つけてからしかは入れない、保育所は競争力を失う可能性があるのです。

認定こども園のシフトも20年後を考えると必要は対策となるでしょう。

 

ところで、少数意見ですが、私が考える理想の保育所について少し書きたいと思います。

「朝から、ずっと遊び続け、迎えに行ったらなんと、土だらけ。遊び疲れて少し元気ないけど、家に帰るとご飯食べながら寝てしまう。遊びまくって、勉強はできないけど、どこの施設よりも挨拶が上手で、ハンディキャップを負った子を他の子たちと同様に接し、困ったときには助けてあげる」こういう保育所があってほしいと思います。小学校からこのような生活はできません。こどもの時こそ思いっきり遊びまくって欲しいものです。たぶん少数意見だから参考になりません。7歳までは神の子なんですから・・・

 

 

●待機児童

待機児童と呼ばれる子は、3歳以上児にはほとんどいません。3歳以上児はすでに9割以上が保育施設に通っています。待機児童と呼ばれる児童は3歳未満児なのです。0歳児が10%、1,2歳児が27%で3歳未満児の約8割が保育所に通わず、家庭において保育を行っているのです。

3歳未満を子供に持つ親が、働きたくても働けないという状況にあるといえるでしょう。

今後、保育所の整備においては、3歳以上児の保育室を増床しても意味はなく、3歳未満の施設の増床が必要になるでしょう。

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